高級なお肉は柔らかくて美味しいものです。しかしながら安い・硬いお肉でも柔らかくする方法があります。それを行えば、安い金額で高級ステーキ並みの美味しさが得られるでしょう。その方法とは?
安い肉を柔らかくする方法とは?ポイントは3つ!
固いお肉や安いお肉を柔らかく、まるで高級感のあるもののように変える方法は大きく分けて3つあります。
1)道具で筋繊維を断裂させる
固い肉や安い肉というのは、基本的に「筋繊維がしっかりしすぎている」傾向があります。これは外国の肉と日本の肉を見れば一目瞭然です。
好みと言えばそれまでですが、外国の肉は基本的に脂質少なめの赤身肉。いわば筋肉質な肉です。
これに対し日本の肉は“霜降り”という言葉があるように、口に入れた途端溶けていく…といったものが好まれます。
道具を使って柔らかくする為に行うのは、このしっかりしすぎている筋繊維を断裂させていく事。
これにより「噛みきれない…」ような肉でもだいぶ柔らかくする事が可能となります。
肉を柔らかくする道具とその使い方
一般的に知られる道具を使った方法は“叩く”もしくは“切る”です。よく見る“叩く”の場合は、お肉専用のギザギザした突起物がついたハンマーでしょうか。ミートハンマーですね。
もしなければ麺棒や包丁の背でも構いません。
まず、お肉の合間にある筋に包丁の先で2、3ヶ所切れ目を入れます。これが“切る”ですね。
イカなど繊維質の高い魚貝類に飾り包丁を入れるのも同じ原理。より高い精度を求めるならば筋切り包丁なんてのも売っています。
次に、肉の中心部から外側に向かって叩いていくワケですが、ただ叩けばいいワケじゃありません。
軽い力でトントントン…と全体を叩く事が大事。
これは強く叩き過ぎてしまうと柔らかくなりすぎ、焼いた時に旨みが外に逃げちゃいますよ。
フォークをプスプス刺していく方法でも構いませんが、穴を開けすぎると結果同じなので注意しましょう。
2)酵素でたんぱく質を分解する
最近ダイエットなどに人気の酵素は、中身から浸透して肉を柔らかくする効果があります。
これは酵素に肉に含まれる主成分・タンパク質を分解する力があるからです。
この酵素は、どんなものに含まれるのかは次の話でじっくりしたいと思います。
3)pH(ペーハー)
《pH》はペーハーと呼びます。《pH》といえば小学校で習う酸性、中性、アルカリ性の話に出て来るのを覚えている方も多いはず。
急に理科の実験?と思うでしょうが、料理は理科と同じ原理という言葉もあるのであながち間違いではありません。
で、この《pH》がどんな意味を持つのでしょう?
《pH》は酸性値を表すために用いられるのですが、強酸性を表す1値から強アルカリ性の14値まで展開されます。
そのちょうど中間に当たるのが中性である7値。
肉質がもっとも固いとされる《pH》が5だというので、柔らかいお肉はこれよりも低い値にならないとされています。
これをマリネード処理というのですが、これによりお肉内にある筋繊維と結合組織が水分により膨張。
強酸性に近づく事でお肉に含まれるタンパク質を分解する酵素が活性化させる事が大事のようです。
お肉を柔らかくする方法2【酵素編】
酢豚
《酵素》とただ聞くと、最近よく目にするダイエット用のあの独特なドリンクなんかを思い浮かべます。
そもそも《酵素》というのはどんな食材にも基本的に入っているものであり、それを醗酵させて作られたのが《酵素》ドリンクになります。
《酵素》ドリンクはちょっとお値段も張りますから、とりあえず一般的なものを伝えますね。
お肉を柔らかくする《酵素》を持っている代表格といえばフルーツ各種。
酢豚に入るパイナップルや、カレーに入れる
リンゴなんかはよくご存知なのではないでしょうか?
ただ、パイナップルなどはあまり長く漬けすぎると柔らかくなりすぎちゃうというデメリットがあるのでご注意を。
キウイフルーツの絞り汁も有名ですね。
これに加え、醗酵食品であるヨーグルトも外国の料理ではマーマレードジャムと並び一般的。
日本なら一時期流行った塩麹も酵素を沢山含んでますね。
ヨーグルトやマーマレードジャムは30分ほど漬け込むのが適量です。
ただ、ピカタなど味の濃いものなら良いですが、薄味のものの場合はヨーグルトらの香味が気になるかもしれません。
そういった意味では塩麹の方が下味もつくのでとても楽でしょう。
塩麹と同じように、味もそれほど気にならずに済む食材がきのこ類やすりおろした玉ねぎ。
使うのはそのつけ汁ですが、これなら一緒に付け合わせも出来て便利ですね。
お肉を柔らかくする方法3【PH編】
tansansui
さて、冒頭で話したように《pH》を5値より低くするには、強酸性にすればいいというだけの話。
そこでこんな料理の仕方を聞いた事があるのではないでしょうか?お肉を煮込む際に“コーラ”や“ビール”を使うというもの。そう、炭酸飲料で煮込むのです。
もちろん漬け込むのもありですね。
また、先で話した酵素と同じように“日本酒、”“ワイン”や“お酢”も同じ。
そもそも、これらはそれぞれの《pH》が同等程度の値を表す事から出来る事。
ワインビネガー…pH2.5
レモン汁…pH2.8
コーラ…pH2.4
もし“コーラ”の風味が多少なりとも残ってしまうのが嫌でしたら、ただの“炭酸水”でもいいと思います。
吸収しやすいようお肉の表面に穴を開けるのをお忘れなく。
ベスト・オブ・お肉を柔らかくする方法とは?
パイナップル
では、これらで最もお肉を柔らかくする方法はどれなのでしょうか?
一番効果が高いとされるのは、漬けすぎるとぐずぐずになってしまうくらい溶けてしまうというパイナップル。
つまり≪酵素≫ですね。
パイナップルに含まれるブロメリン(ブロメレインとも)という酵素がタンパク質を分解するだけでなく、消化も助けてくれます。
ただ、加熱しすぎるとせっかくの分解酵素の働きが失われてしまうので、最後にサッと温めるだけにしたり、
やはり焼く前に漬け込むのがいいようです。
ブロメリンの効果はこれだけでなく、腸内の腐敗産物を分解する仕事も行います。
この為、下痢や消化不良、悪臭を放つガスや大便といった腸内環境の改善にも効果があるといわれています。
でもパイナップルは生じゃないと意味が無いとの事。
なかなかコスパがかかりますね…味も濃いし。
そういった意味で、やはりお出汁にもなるきのこが良いかも。
特に舞茸に含まれるエンドペプチダーゼが強いタンパク質分解酵素のようで、舞茸をみじん切りにしたものを濾した漬け汁に30分漬けるだけで柔らかくなって旨味成分も増加。
みじん切りの舞茸をお肉に振りかけて水やお酒を振っておくだけでも良いみたいですよ、ぜひお試しを。